仙台高等裁判所 昭和27年(う)385号 判決
(イ) 本件起訴状の公訴事実中傷害の部位につき喜久夫の右腕に咬傷を、英一の右肩部に打撲傷を負わせたと記載してあるに対し、原判決には喜久夫の左腕部に咬傷を、英一の左肩部に打撲傷を負わせたと摘示しあることは所論のとおりである、しかしながら傷害の部位につき右と左の差異はあるが、ともに被告人の咬みつき又はミシン用椅子を投げつけた所為によつて生じた傷害であることに相違なく、かかる場合においては敢えて訴因変更の手続をなさずとも被告人の防禦に何等の不利益を来たすおそれがないからその手続を履む必要がないものと解すべきを相当とする。
(ロ) また傷害の部位程度の証明は必ずしも医師の診断書に俟つの要なく、原判示事実はその挙示する証拠を綜合すれば優に認定しうるところであつて原判決には事実誤認を窺うべき事由や採証の法則違反ないし理由不備の違法等は存しない。
(中略)
(ハ) 職権を以て原判決の法令の適用を調査するに、原判決は二個の傷害事実を認定し右は併合罪の関係にあるに係らず単に刑法第二百四条罰金等臨時措置法第二条第三条のみを適用したのは法令の適用に誤があつて、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は此の点で破棄を免れない。
(後略)